民族の十字路と民藝
[ 2020-12-08 17:07 ]
昼間の日差しがオレンジ色を帯び冬至が近いことを感じる今日、美卯オーナーです。写真は美卯玄関でお客様をお迎えしているアフガニスタン製のキリム絨毯です。
アフガニスタンは日本人医師・中村 哲先生が戦乱からの復興のために生涯をかけられた地ですが、
この国を始め周囲の国々は民族の十字路と呼ばれる古代から多くの民族、文明文化が行き交う複雑な地域です。
改めて調べてみると民族の定義自体とても難しく、スッパリと答えられるものではないとわかります。
ただ現地に行かれた方や出身の方からお話を聴くと民族というより部族といった繋がりの集団が血族などでコミュニティを形成しており、他の部族に対して警戒心が強く、当然とはいえ自分たちの部族の利益が最優先であり国家としてもまとまりを作るのが難しいのが現状です。中村先生の事件も現地の部族同時の水利権が関係しているのではないかと言われていますが、いまだ真実は霧の中。
私が学生の頃は植民地からアフリカ、アジアの開放がトレンドであり、民族主義というワードに良き未来への光を感じていたものですが、数十年たった現在はその言葉に複雑な思い。民族、部族の違い、国家体制の違いなどによる排外主義の広がりに心が重くなるばかりです。
浅学な自分が語るべきではありませんが、民藝の民は大衆のみを表しているにあらず、民族の多様性の素晴らしさにも繋がっていると私は思っています。
民族の違いを争いの種にするのではなくその違いから生まれる文明文化技術の多様性にこそ人間を豊かに幸せにする種があるのではないでしょうか。
そのことに最も早く気づかれていたのが『民藝』を提唱された柳宗悦先生です。
美卯にはキリムをはじめ様々な国の民芸品があります。それぞれが固有の美しい特徴を持ちながらも、また一方で遠く離れたところで作られた品であってもどこかデザインや技法に共通点がみられたりして、日々民芸品と付き合う中で様々に新しい発見があり楽しく興味が尽きません。
多様であることが争いの元になるのではなくお互いを尊重し認め合い共に豊かに幸せになるための種になって欲しいと一民藝やとしては願わずにはおれません。
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