倉敷本染手織研究所
[ 2018-11-02 22:30 ]
11月になりました。今年はいつもより時間が早く過ぎているような気がします、美卯オーナーです。9月の倉敷フォーラムから早2か月、今もまだその余韻が強く残っています。
とりわけ外村吉之介先生の創設された倉敷本染手織研究所を訪ねることができ感謝です。
倉敷本染手織研究所は昭和28年に美しいものを日本中に広めるために作られ、今日まで65年の間に約400名の織り手を育てています。
外村先生は海外や日本中を巡り「母が子供のために作ったものが一番美しい」という考えに至りました。
ですから研究所では売り物を作る職人の養成を目的とせず、当時は女性は結婚して母になることがことが当たり前とされた時代でもあり、将来それぞれの家庭で家族のために美しいものをつくる担い手として未婚の女性を全国から募り糸紡ぎから手織、本染まで教授しました。
さて倉敷本染手織研究所の「本染」とは?と思われた方もいるかもしれません。
本染について当研究所主任の石上梨影子先生によると、
「本染」とは(近代に)化学染料が登場したことでそれまで伝統的に使われてきた植物や鉱物その他の天然染料を用いた染め物を区別して呼ぶために生まれた言葉だそうです。
また「草木染」というジャンルもあるが、外村先生はこれを趣味的と嫌ったといいます。草木染めは身の回りにある植物のほとんど何からでもなんらかの色が出るが、中には堅牢度に難があるものも含まれているからだそうです。
外村先生は昔から染料として使われてきた堅牢度に実績のある先人たちの選びぬいた天然染料を用いる「本染』に拘ったのだそう。
外村先生に限らず民藝の先人には日常の道具であるからこそ作られたものの堅牢さ、つまり耐久性に拘ったという話をよく耳にします。
天然染料の中で一番の基本になるのが藍染ですが、今日でも研究生が卒業して各自の地元へ帰った時に自分で藍を染められるようにと毎年新しい藍をたてて実習を行っているそうです。
近年は織物の用途が衣類からインテリアの敷物などにと変化しつつあるといいますが、美しいものを日本中の家庭に広めたいという外村先生の伝道の精神は今も脈々と倉敷本染手織研究所はじめその卒業生たちによって受け継がれています。
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