ハチドリのように
[ 2017-12-11 20:22 ]
ギャラリー&インテリア美卯は2005年12月に開業してこの度12周年を迎えました。これもお客様はじめ応援して下さる皆々様のお蔭です。心より御礼申し上げます。
これからもよろしくご指導、ご鞭撻をお願いいたします。
『ハチドリのひとしずく』という南米アンデス地方に古くから伝わる物語をご存じでしょうか?
日本では2005年に光文社から発行され静かなブームとなりました。
先日この物語に触れる機会があり、初版から10数年経た現在、この物語の語りかけるテーマがより一層重くなっていると感じました。
物語のあらすじ
ハチドリはその名の示すようにとても小さな鳥です。中南米と北米に生息していて、体長はわずか10㎝!です。
そんな小さなハチドリのクリキンディはある日森の火事に遭遇します。
森の生き物たちは皆我先に逃げていく中、クリキンディだけは自分のくちばしで水のしずくを運んでは一滴ずつ火の上に落としていきました。
他の動物たちはこのクリキンディの行為を「そんな程度のことで何になるんだ」と笑いますが、彼は答えます、
「私は、私にできることをしているだけ」っと。(「ハチドリのひとしずく」辻信一監修 光文社刊 2005年)
現実の世界では社会も時代も変化は激しく、たった一人の個人の力ではできることは限られとても無力ー。
でも美卯のまわりにいて下さる皆様のよりよい現在と未来のために一滴にも満たない力かもしれませんが、ハチドリのクリキンディのようにこれからも美卯は民藝の志をもってまずは今、自分が出来る事をやっていきたいと思っています。
もうすぐ新年2018年がやってきます。大きな節目になるような予感の一年です。
(写真:マイケル・ニコル・ヤグラナス氏画 カナダ・ハイダ民族出身)
時代を映す言葉
[ 2017-12-03 19:41 ]
今日はとても心地よいお日柄の尾張より、美卯オーナーです。今年の流行語大賞が決まりましたね。
忖度にインスタ映えと、まずまず皆さん納得の受賞だったようです。
来年はどんな言葉たちがエントリーされるのか、一年間の世相を表すだけにできるだけ明るいものであればなぁ~と願っています。
さて私も今年一年様々な言葉に出会い、泣き笑いがありましたが、来年を考えるにあたって重要なキーワードにもなる言葉にこのところ立て続けに出会ったので備忘録として書いておこうと思います。
『バックキャスト思考』
その意味は「未来がどうなっているか想像し、そこから今に立ち戻って課題設定や問題解決を考える」というもので、様々な制約をポジティブに捉えられるようになるといいます。つまり、未来と現在の間に何を成すべきかを前向きに考えることと言ったらよいでしょうか。
『転源自在』
「物事を解決する要因は全て自分の中に存在する」という意味ですが、この言葉自体は聴いたことがあってもこれほど深い意味だとは無学な自分は知らずちょっと恐縮(^_^;)
上手くいかないのは世の中や他人のせいについしがちですが、そんな“転源他在”では問題が決して解決しないことは私のような年齢になると実体験を伴って理解ができるます。、、、亀の甲より年の功ですね(^_^;)
(ただ、それにしてもてんげんじざい→変換→天現寺財、、、ってパソコンの言語ソフトも勉強不足ですね~\(◎o◎)/!)
この二つは先日参加した勉強会で知りました。今年もボツボツ色々な分野の勉強会、討論会の末席をけがさせて頂きましたが、自分の専門や興味ある分野に限らず色々な方面の情報を収集して知ることがとても大切だと改めて実感しています。
最後にもう一つ気になる今年のワードとして「自由からの逃走」があります。
さる報道記事でこの言葉を目にした時、はじめは意味が全くわからずに???でした。
“自由”から逃げるってどうゆうこと?
自分の中では“自由”は非常にポジティブな意味であり、当然の権利であり利益をもたらすものと考えていたので、なぜそれから逃げる必要があるの?っと。そこで調べてみました。
『自由からの逃走』は1941年に発表されたE.フロムによる主にドイツのナチズムついての研究書の題名でした。
当時のドイツの人々がなぜナチズムを支持していたのかについて書かれているそうです。
フロムによれば近代人は中世封建社会から解放され自由を手に入れたが、その自由を得たことによって、孤独感や無力感にさらされることになった。これに耐え切れない人々は「個人的自己からのがれること、自分自身を失うこと、いいかえれば、自由の重荷から逃れること」を望み、そしてそこから「権威主義的パーソナリティ」が形成されると。
本書を読んでいないし、難解ですが、要は自由に伴う責任や義務から逃げたくなる個人が少なくないという事でしょうか?
確かに自ら情報を集め考え人生や社会を選択していくことは確かに大変、だれか、何か力強い存在にに頼ってつい楽をしたくなるのが人情かもしれません。
でも、先人が苦労して獲得してきた個人の自由を簡単に手放していいものでしょうか?
ちょっと民主主義の根幹に関るような難しい言葉に出会ってしまったようです(^_^;)
さて、2018年はどんな言葉がこの世界でクローズアップされるのでしょうか?
来年こそは穏やかで平和であることを心より願って―。
2017年はシンギュラーポイント?
[ 2017-12-02 18:22 ]
とうとう12月、今年もアッという間に過ぎ去っていきそうです、美卯オーナーです。とはいえ、今年もいろいろありました。まだゆとりのあるうちに少しとりまとめていきたいかな~と。
2017年は公私にわたりターニングポイントになる事象が多岐の方面であったように思います。
こういう時期の事をシンギュラーポイント(=分岐点、特異点)と呼び、後年あれが節目だったといわれることがあります。
もう後戻りのできない、新しい次元へ移行して社会が急激に変化するため、大きな価値観の転換(パラダイムシフト)がおきるとも、、、。
それは人の世に限った事ではなく、自然界でも極端な気候変動が連続して誰の目にも明らかな変化が起きています。
人間も自然の一部と考えれば人間の社会と自然界の動きが連動するのは当たり前の事かもしれません。
、、、と前置きがながくなりました(^_^;)
私がこの一年感じてきたことは私たちの身近にある全てのモノは自然からのギフトであるということー。
食べ物、着るもの、住むもの全部自然に存在するものを材料に作られています。
ところがそのあって当たり前のように考えられてきたその材料が急速に自然界から消えていっていることをご存知でしょうか?
人間が生きていくための資源は様々にありますが、工業製品の主原料は石油を化学的にいくつもの工程を経て高度に加工された人造品であり、
それに対して民藝品のような手仕事でつくられる品のほとんどは自然界が産んだ状態に近く、その性質を活かした姿をしています。
だからこそ手仕事の世界では自然環境の変化は工業製品より早く直接的に、また目に見える形で影響を受けます。
民芸品の材料である天然素材は自然を相手にする仕事の不安定さから担い手が減少しているという面もありますが、生態系の変化から生産量が激減している材料があり、当店が関係している部分でいえば、ラッシチェアに使用する水草の生産が困難になっています。
加えて近年は日本中、いえ世界中でいつ、どこで気候の激変による災害に見舞われるかわかりません。
残念ながら今年7月には九州北部豪雨によって佐賀県日田市・小鹿田の里が被災。
採土場の崩落、土石流による唐臼(川の流れを使い臼で土を突いて細かくして陶土の原料にする装置)の流出破損といった被害がありました。そんな中現在は復興の工事の傍ら、生産を再開。小鹿田焼に関わる皆様のご尽力には頭が下がるばかりです。
小鹿田焼の里は永きにわたって自然と人間が共生しながら世代を重ね、焼物を生産してきました。
そして今、復興工事にあたっては次の災害に備えることを考えながら進んでいるといいます。
持続可能なモノづくりを目指して自然とどう折り合っていくのか、手仕事においても地球環境という視点は欠くべからざる課題であることを知らしめられた今年一年だったように思います。
(写真は2016年秋小鹿田 唐臼を撮影)
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